ハイセンスな外観の中に和を感じさせる「Prostyle Ryokan」

旅館

遠目にスカイツリーをのぞむ隅田川沿いに軒を構えた「Prostyle Ryokan」。ローマ字表記とは相反する江戸時代の旅籠を思わせる長のれんの風にはためくさまが清々しい。東京、もとい日本を代表する観光地である浅草の雷門や浅草寺といった人気スポットへのアクセスにも優れ、その圧倒的なデザイン性だけでなく実用性も高い宿泊施設は、訪れる宿泊客の胸を高鳴らせる。

目指したのは利便性とくつろぎを兼ね備えた「まちなか旅館」。都会に位置しながら堅苦しさを感じることなくくつろげる旅館の良さと、好きな時間に外出ができ、いつでも入浴や食事を楽しむことが出来るホテルの良さを兼ね備えたハイブリッドな新しいおもてなしの形。外国人観光客でも無理することなく「和」の文化を楽しむことが出来るのだ。

光溢れるくつろぎの空間

大きなのれんをくぐり抜けると、そこには明るい木目を基調とした穏やかな空間が広がっていた。障子の照明や床からはオレンジ色の光が溢れており、ハイランクで温かな雰囲気を醸している。ホテルの様な高級感に旅館ならではの落ち着いた雰囲気が合わさり、変に仰々しさのない、思わずほっとするような空気感である。

同じ「まちなか旅館」を謳ったプロスタイル旅館横浜馬車道は、「2019年度グッドデザイン賞」を受賞している。ひとつひとつ職人技に通じていくようなプロフェッショナル集団を目指すという意思のもと、立ち上がったプロポライフグループ。そんなプロポライフグループの旅館とあって、デザインや内装の何ひとつをとってもすべて一級。そんなプロフェッショナル集団の手掛けるホテルや旅館とも違う「まちなか旅館」とは一体何なのだろうか。

都市部町中にある旅館の“ 新定義 ”

部屋に入ると、畳や障子、椅子とテーブルが置いてある広縁と言われるスペースなど、一見旅館の装い。だが、そこには部屋を埋め尽くさんとするほど大きなベッドが。これには、若い方や外国人の方さらには地元の方にもより便利に使って欲しいという想いがあった。

総支配人は以前旅館に足を運んだ際、自由度が少ないと感じたそう。チェックインや夕食、布団を敷くタイミングまで旅館はすべての時間がコントロールされていて、寝たい時に寝れず、夜に畳の上でボードゲームもできないと、どんなに素晴らしい旅館であっても多少のもどかしさがあった。そこをもっと便利に自由にしたいと考え、ベッドを置くことでいつでも睡眠をとることができ、広い畳のスペースをとることで何時であっても遊びたい時に遊び、家族連れは寝ている間に子供を遊ばせることもできる。また、町中にある便利さもあり、観光客だけではなく地元や、近くの地域の方がふらっと気軽に泊まりにこれる憩いの場にしたいと言う気持ちもあったそう。

気軽さへの追及

温泉旅行に行こうとなるとどうしても宿への交通費や交通時間がかかってきてしまう。日帰りや一泊だけと言っても、普段仕事や子育てで忙しい人にとってはゆっくりする時間もとれず、返って疲れがたまってしまうこともあるだろう。時間もコストもかかってしまう温泉地への旅行に比べ、ここは都内浅草ということもあり、都内の人であればすぐに来れてしまう気軽さがある。3時間5000円の日帰りプランもあるため、泊まらずとも小旅行のような気分を味わうことが出来るというのだ。この気軽さも魅力の一つであり、家族やカップル、お一人様など様々な方々に支持を受ける要因の一つだろう。

加えて、総支配人ははっきり温泉旅館という感じではやっていないという。もちろんたっぷり泊まって温泉にも入って寛いで行ってもらえるというのはとても嬉しいが、一つのとっかかりとして考えているそう。外国の方や若年層などの旅館にあまり泊まったことのない方に気軽に来てもらって、旅館の良さを知って、身近に感じて欲しいという。旅館自体にもっと興味を持ってもらうため、とっかかりとしてあえて敷居を落とすという戦略は元から旅館が好きな総支配人らしい発想である。

気軽さだけではない多様な魅力

「Prostyle Ryokan」は去年のオープンから、まだ1年経たずだと言う。お客様のアンケートもくまなくチェックし、リクエストも積極的に改善しているそう。そんなアンケートで目立つのがお風呂の意見だという。スイートのお部屋のお風呂は、2人でも余るほど広々としており、子供連れの家族で入っても余裕を持って寛げると書いていたそう。客室の半分以上露天風呂が付いており、外の風を感じながら気兼ねなくお風呂を楽しむことが出来る。観光地の中心部という立地で、ここまで気軽さがある中、広々とした露天風呂も備えついている宿はほかにはないのではないだろうか。

露天風呂や気軽さだけではない。二階に併設されているタンしゃぶ専門店でいただける朝食がまた絶品なのである。横浜馬車道店も同じレストランでやっているのだが、横浜馬車道店は気軽にタンしゃぶ専門店の朝食を味わってもらうことがモットーである。浅草店は特に鮮度の良い牛肉を、ビュッフェスタイルではなく御膳にして提供している。専門店の本格的な味わいをよりしっかりと味わって欲しいため、このスタイルをとっていると話していた。

もう一つの我が家

訪日外国人の多いここ浅草で、外国人と日本人とのコミュニケーションをどうとっていくかが今後の課題だという。コロナ渦のこの中で試むことができなくなってしまったが、外国人向けのワークショップを開いたり、お店の表(玄関)部分が広いので、そこで縁日をやったりしたいと考えているそう。地場の人達も一緒に、お茶でも一杯飲んでいってもらいつつ交流をしていく。そんな下町の体験を知らない外国人や若年層の方にも体験してもらい、接点を作っていく。“もう一つの我が家”みたいに思ってくれるような、そんな下町の空気感を「Prostyle Ryokan」を基点に作りたいと話していた。

地方ではよく見かけるが、昔ながらの風景を見ることは今時都市部でなかなか少ない。「清々しい」「心地が良い」といった日本特有の言葉を普段から使うことがあっても、実際に感じる機会というのは近頃少なくなっている気がする。きっとそういった「清々しさ」や「心地の良さ」というものは街や人のためを思い、人が手間をかけていかないと生み出せないものなのだろう。その日本特有の感覚的なものは日ごろ薄くなってきているが、総支配人はその昔ながらの雰囲気をあえて手間をかけて作っていきたいと言っていた。いかにして「また来たよ」と声をかけてもらえるか。街と人々が連携してもう一つの我が家を作る。他のホテルや都市部の旅館にはないこの下町の雰囲気が安心感とワクワク感をもたらしているのだろう。

ホテルと旅館の良さが備わったこのまったく新しい「まちなか旅館」で、外国人や若年層の方々も巻き込んだ下町の空気感を作っていく。内装や食事だけでなく、コンセプトやお客様へのサービス精神までもまったく抜かりの無いこの宿は、まさにプロスタイルであった。

Prostyle Ryokan
住所  : 東京都台東区花川戸2丁目12-11
営業時間: 24時間
定休日 : なし
電話番号: 03ー5830ー6015

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