楽しみを広げる日本酒の世界。ワンコインでテイスティングができる720ml専門店「酒のサンワ」

食料品

かっぱ橋道具街、いつも通るこの道をフラフラと歩く。チャイムが鳴ったのはちょっと前だというのに次々とすれ違う下校中の子供たち。ぶつからない様に横目で注意しながら一つ一つの道具屋を探索。彩り鮮やかな食器にプロの技が光る包丁やフライパン。普段あまり深く見ることが無いため案外新鮮で、どのお店もついつい気になってしまう不思議な魅力がある。いくつか買い物を済ませそろそろ帰ろうかという頃、薄暗い外の明かりに映える小さなボトルの看板が目に入った。道具街に酒屋さんとは珍しい。しかも720mlボトルの日本酒と焼酎を専門に扱っているお店なのだそう。好奇心に煽られ、足を踏み込んだ。

手に取りやすい720mlサイズ

ずらりと並んだ日本酒の数々。本店を構えているのは北上野でここは支店に当たるという。話を伺った尾花氏はもともと料理人で、1ユーザーとして道具街が好きだった。以前から道具街でお酒を売ってみたいと漠然と思っていたそうだが、この場所に縁があって、2015年8月24日愛酒の日にかっぱ橋店をオープンした。

販売スペースが限られているとあって、サイズの大きい一升瓶を並べるとなるとどうしてもラインナップが限られてしまう。小さいボトルであればたくさん並べられてサイズ的にも手に取りやすいだろうと、720mlを専門に扱うことにした。従来、一升瓶をセレクトして飲食店に卸すのが酒屋の業務のメインであることから一升瓶が中心の業界にあって、720ml専門の形態には、同業者からは疑問の声も上がったという。それでもこの形態で営業を続けていくうちに、ご近所さんや国籍問わず観光の方など、リピートで訪れる客が次第に増えていった。手に取りやすいサイズというのもあるが、リピート客をそこまでに引き付ける魅力は一体どこにあるのだろうか。

日本酒を気軽にする”ワンコイン”テイスティング

日本酒を日常的に飲む人は案外少ない。よくわからないから手にしない、あるいは日本酒を飲むのは年末年始だけ、という人は多い。だからこそ、尾花氏は日本酒の敷居を低くしたいという。愛好家からみればとても楽しい世界。飲食店や自宅で誰もがもっと自由で気軽に楽しめる、日常的な存在になってもいいのではないか。中心価格帯が1,500円~2,000円と金額的にそこまで高額ではないし、多くの方に日本酒の魅力を知ってもらいたいと話す尾花氏。その間口を広げる一環として、酒のサンワが行っているのは日本酒の有料テイスティングである。数種の日本酒から500円(税込み)で2種類を選んで飲み比べることができる。道具街を訪れる人、ご近所さん、観光客も軽く一杯ついでに気に入ったら、自分用に、お土産に、ギフトにボトルを買って帰ることができる。普段あまり日本酒を飲まない人には踏み込みやすく、またテイスティングを楽しみに来店する愛好家も多いそうだ。テイスティングを通じて客の好みの幅や楽しみ方を広げる機会を作っているという。

この店のラインナップの特徴は、全国でも20軒ほどの酒屋でしか取り扱ってないような小さな酒蔵などあまり見かけない銘柄が多いこと。客の意見や感想を直接フィードバックできることが、小さな酒蔵との取引の魅力だという。味わいだけでなく、客へのアプローチの仕方も含めて提案するなどして、より魅力的な商品づくりにつなげていく。その積み重ねで共に成長していくのだ。ここは純粋に日本酒を楽しむのに最高のお店である。誰もが知るような有名な銘柄のお酒も取り揃えてはいるが、ラインナップは珍しいものが多く、見ているだけでも飽きることがない。買いたい、飲んでみたいお酒を、テイスティングや店とのコミュニケーションを通じて選んでいく。そういった楽しみを味わえる空間になっているのだ。

ステイホームで広がった日本酒と食事の関係

昨今、ステイホームが推奨される中で、減少している会食の機会。休みの日に家族で外食に行くことはあっても、大人数で友人で同僚と飲みに行くことはほとんど無くなったのではないだろうか。外食の機会が減り、ライフスタイルが大きく変わったことで、お酒の選び方も変化してきているように感じるという。銘柄で選ぶよりも食事との相性でお酒を選ぶ客が増えているそうだ。尾花氏は以前イタリア料理の修行をしていたこともあって料理とお酒に対して意識が高い。ワインと日本酒に共通しているのは料理と合わせて楽しむお酒だということ。同じ醸造酒であり、感覚的にも似ているという。例えば、たこ焼き、いかの煮つけ、焼き肉など個々の料理に合わせて楽しめる日本酒を提案することが以前にも増して多くなったそうだ。料理とお酒は密接に関係しているが、個性や相性を一から探っていくのはなかなか難しい。そんなときに酒屋の提案など頼れる指針があれば、初心者にとっても選びやすいであろう。  

馴染みの無い層には日本酒の敷居はまだまだ高いという尾花氏。せっかくふらりと入店されても、知らないからと店を後にする客は多いという。コンビニで気軽にビールを買うように...とまでは言わなくとも、道具街に来たら立ち寄って、お酒を気軽に選ぶ店になってくれたら。そうすれば業界もより盛り上がるし、更に楽しく面白いものになっていくのではないだろうか。気軽に話しかけてもらい、コミュニケーションを楽しみ、心地よく過ごしてもらえるための様々な工夫をしていきたいと話していた。

日本酒業界の盛り上げに尽くしたい尾花氏だからこそできたこのお店。日本酒好きも、あまり馴染みが無い層にも楽しめる要素は盛りだくさんだ。今一度、日本酒の魅力を探りに伺ってみてはいかがだろうか。

酒のサンワ
住所  :東京都台東区松が谷3丁目17−11
営業時間: 13:00~18:00
定休日 :水曜日、木曜日(不定休)
電話番号: 03-5830-3521

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