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日本食と日本茶。食べて体験して初めて感じる日本文化の深い魅力。「茶御飯東京(チャゴハントーキョー)」

和食

平安時代初期、遣唐使によって中国から日本に渡ってきたお茶。長い年月をかけて親しまれ、今では日本の文化のひとつになっている。そんなお茶文化と切って離せないのはやはり日本食。単体で味わう事も多いが、ご飯やお菓子に欠かせないという人も多いのではないだろうか。そんな密接な関係にある2つの日本文化への想いに溢れたお店が、この歴史深い浅草に軒を構える。「茶御飯東京(チャゴハントーキョー)」である。ナチュラルな印象の軒先に茶釜とお碗を象った看板。店名のすぐ下には「COOKING CLASSES&CAFE」の文字が。和カフェに加えて日本食をより濃く学べる料理教室もやっているのだそう。歴史あるこの東京・浅草の地で伝える日本茶と日本食。その想いとは。

日本茶のシングルオリジン

外観の印象の通り爽やかな店内。一歩踏み込むと、まるでジブリ映画の中に入り込んだかのような素敵で少し異空間な和の雰囲気に満ちていた。目を見張るずらっと並んだ無数の茶碗。一点物の萩焼や洗練された真っ白でシンプルな物までちょこんと一つ一つが綺麗に並べられている様は圧巻である。和カフェでは、日本茶を中心としたカフェのサービス、アフタヌーンティーの提供に合わせ日本茶の入れ方や抹茶の立て方など講習も多く行っている。そこに扱っているお茶はおよそ20種類。お茶への想いは店主の地元に関係しているという。

茶御飯東京を営む平野夫妻は日本茶業中央会が設立した日本茶インストラクター協会というお茶の協会で奥様はアドバイザー、旦那様はインストラクターという資格を持っている。500ページのテキストから歴史、科学、味覚、農芸技術を学んだ確かな知識のもと、お茶を提供している。夫妻どちらも埼玉県狭山市、入間市の出身。名産品として狭山茶が有名で、生産面積は県下一を誇るという。その事も関係し他の地域の出身者よりもお茶は小さいころから身近な存在で、地元では茶農家の方々とも親しかった。外国ではあまり知られていないし、日本の方もお金を払って飲むことはまだまだ少ない。ここ浅草から日本茶の魅力を日本全国、世界に広めていきたいという。ここのお茶は言わばコーヒーで言うシングルオリジン。生産地でざっくりと括った品種ではなく、茶葉の種類や農園ごとの品種で分けているという。通常お茶を販売する上で茶農家から問屋を経て茶屋に届くようになっているのだが、茶御飯東京ではその段階を踏まず茶農家の元へ出向き、直接仕入れているのだという。問屋で行われるのはブレンドの作業。混ぜ合わせることでバランスの良い味わいにはなるが、その分ひとつひとつの個性は薄れてしまう。そこら辺では買えないものを提供したいと言う平野氏。あまり知られていないチャレンジングな茶農家の茶葉を積極的に仕入れているのだそう。飲んだ時のサプライズ感を味わってもらう事で、コーヒーの様にお金をかけて違いを楽しんでもらうようになればと話していた。

目まぐるしく広まる日本食の体験

2015年のオープン以来特に力を注いでいたのは料理教室であった。始めは和カフェと料理教室を半々でやっていくはずだった茶御飯東京。開店してから間もなくして、外国人観光客の滞在時間が少なかったという台東区の観光課から当時あまりなかった”体験”を観光客にさせたいと話にあったという。宿と連携して外国人観光客のゲストを迎え入れているうちに、クオリティを認められ口コミもみるみる広がっていき、そのうちNHKなどメディアから取材が入りホテルへの認知が広まり旅行代理店ともタッグを組んでと、目まぐるしく変わっていった。

台東区観光課が来る前、従業員を雇っていたがお客様に文化への想いを伝えながらのサービスを提供することに限界を感じ、従業員を雇わず夫妻2人で対応することにしたのだという。そこからは近くに住み、朝1でお店に行って夜中に帰るという日々が続き、常に忙しい中で畳みかけるように繁盛していった。役割は奥様が準備、仕込み担当。旦那様はオペレーションと役割を分け、常に材料の在庫を確認しながらの営業。ラーメン餃子にお寿司にお好み焼きと、毎日沢山の企業やホテルからの予約に加えて飛び込みのお客様も迎え入れ、次第に料理教室でいっぱいになった。料理教室に更に特化すべく、去年の冬キッチンをフルリニューアルしたタイミングでコロナの猛威が訪れた。

日本人も楽しめる蕎麦打ち

外国人観光客から日本人にターゲットも変わり、1年間お店を閉めて仕入れ先に行ったり勉強したり忙しくて出来なかったことをしながら今後の方針を考えた。今まで多かった企業の福利厚生としての体験。出張で訪日した外国人の方々と日本の部署で仲を深めるため料理を通してお互いを知って盛り上がったりグループで来ればプログラム関係なくそれなりに楽しめるという。ただし、そのようなグループでの楽しみ方でなく、プログラム重視の体験では日本人と外国人は楽しめるコンテンツも変わってくる。例えば、お好み焼きや餃子など非常に人気のプログラムだが、日本人にとっては作り方もある程度知っているし普段家で作れる身近なものである。そこにお金を使って学びに行くというのはどうも考えづらい。その中で、思い浮かんだものが蕎麦であった。他に比べて好みが分かれるがラーメンなどに比べてお茶やお酒にも合うし、旦那様は以前師匠直系で修行していた経験もあるとのこともあり、蕎麦打ち体験を始めたのであった。とはいえブランクがあったそうでいきなり始めるのは抵抗があった。師匠は感覚的な教えの方だったので改めて理詰めで見識を深め、今までの経験での解釈と合わせたら面白いのではないかと、休業中の時間を使い一か月間みっちり学校に通うことにした。知るのに大きく時間を費やした事も言葉で説明を受けて、長く修行をしていても初めて知ることがあったという。これからは蕎麦打ちから始め、基本の二八蕎麦や十割蕎麦。桜蕎麦や蕎麦粉を使用したスイーツなど徐々に食事としてのメニューも増やしていきたいと話していた。

日本酒の秘めた多様性

中国の古い図書に「茶酒論(チャシュロン)」という茶と酒がお互いの徳を述べて戦う話がある。物語になり受け継がれるほど昔から酒と茶は合わないとされていた。お互いに歴史があり、それに比例して深い流儀が存在する。そのため両立が難しいのである。先ほどの話にあった様に茶御飯東京には、お茶について確かな知識と見識がある。そんなお茶とぶつかり合ってしまうとされていたお酒がここでは提供されているのだそう。一体どの様なものを扱っているのだろうか。

冷蔵庫に並ぶ日本酒の数々。日本酒にもたくさん種類のある中で平野氏が推しているのは古酒熟成酒(コシュジュクセイシュ)である。清酒を熟成させて作る琥珀色の紹興酒やシェリー酒、デザートワインの様なお酒だ。昔は高く評価されていたお酒なのだが、昨今では純米大吟醸というすっきりとしていてクリアな日本酒が良しとされている。もちろん飲みやすいというのもあるが、大きな理由は別にある。それには日本酒の品評会で高く評価されるという背景があるのだという。品評会で評価されれば酒蔵の評価も上がり、売り上げも上がっていく。そのため、透明ですっきりとした純米大吟醸が市場に多く出回るのである。ワインやウイスキーは多様性や個性が評価されるのに一つの指標のみ評価をするのはいかがなものなのか。古酒熟成酒は個性に満ちている。ひとつひとつの味わいに違いがあり、食事への相性や好みを見つけるのも楽しい。そんな日本酒も近頃はワインなどの多様性に影響を受け、様々なものが流通するようになったという。酒蔵もこそっと育てていたものを出してくれるようになり、味わえる種類も多くなってきたという。そんな古酒熟成酒を茶菓子やあんこなどの和スイーツや、お蕎麦など和のものに合わせていただく。初めて飲んだという方でもその少し尖った個性に溢れる味わいを面白がってくれる方が多いのだとか。昼から飲みやすい雰囲気もまた、気軽に嗜む楽しみを倍増させてくれているのだろう。

お茶や食に負けず日本酒への想いも確固たるものだった。お酒もしっかりと味わって違いや相性を楽しめる。まるで古くからの茶酒論をひっくり返すかのような多様性と知識、こだわり。何よりも想いが込められていた。

小さな業態転換

元々させたかった日本人と外国人、体験と食事の両立ができてきたという平野氏。日本人が入りにくいというイメージもあったが、最近では地元との交流も増え、日本人のお客様も多いという。これからは食事で蕎麦も提供し、和カフェ+そば+料理教室の3本立てで出来ることをやっていきたいと話す。和カフェからお店を知って料理教室の体験をする方も多いそうで、入口はどこからでももっともっと色んな方に日本食について、お茶について知ってほしいと話す平野氏。色々な文化を知る中で、近すぎるが故に見落としがちな日本文化。その深い歴史に改めて向き合ってみると初めての連続で、近くて遠い未知の日本を体験することができる。多様で面白みに満ちた茶御飯東京。今一度気軽に飛び込んでみてはいかがだろうか。

茶御飯東京(チャゴハントーキョー)
住所  :東京都台東区西浅草2-17-13
営業時間: 11:30~18:00 (ディナーは予約制)
営業日 :不定休
電話番号: 03-6802-8248

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